エイプリルフールのススメ
1・ショムニwith魔のエイプリルフールの巻
*ネバギバ女・杉田美園編*
ほほほっ!今日が何の日か、みなさん覚えていらっしゃるかしら?
結構重要な行事なのに、この日って忘れがちじゃなくって?
もちろん、私は忘れたりはしないわよ。
今日、4月1日。それは・・・・エイプリルフール!!
この日こそ、私の長年つちかってきたものを確かめるのにもってこい。
そう・・・・う・きょ・う・さん♪への私の気持ちが、どのくらい届いているのか・・・・
それを確かめるのに・・・・
え?いつもさらりとよけられている気がするのは気のせいか、ですって?
失礼な人ね!あなたも!!・・・まあ坪井さんには遠く及ばないけどっ。
あ、これほめ言葉よ。ありがたく思ってね、おほほほっ。
こんな乙女なことができる日なんて、あとはバレンタインとクリスマスぐらい。
・・・いいえ!嘘をついても怒られないこの日こそ、一番大事な日。
そう考えただけで魅力的な日じゃなくって?
まあ前置きはともかく、さっそく右京さんの気持ちを確かめなくっちゃ。
まあ、この私のことだから、伝わっていて当然なのだけど。
「う・きょ・う・さーん!!」
私は海外事業部に入ってすぐ、彼の名前を呼んだわ。
彼はいつものように一生懸命資料とにらめっこしてたけど、そんなこと気にしちゃいられない。
だって・・・これから年に一度のミッションが始まるのだから。
「・・・杉田くん、こんな朝早くから何か?」
彼は少し間を置いてから、顔をあげて、こう答えたわ。
ちょっとだけ迷惑そうな顔をしたけど・・・おほほほっ、それは仕事がいき詰っているせいね。
「ちょっとお話があるのだけれど・・・・今、お時間よろしいかしら?」
私はいかにも困っているかのように、弱々しく話したわ。
彼は困っている人を見ると、ついつい助言してしまいたくなる体質だから。
そして、私の作戦1は大成功!え?嘘〜、ですって?
嘘じゃないわよ!その証拠に、彼はこう答えてくれたのよ。
「今は忙しいんだ。ここでよければ話を聞くが?」
ほら、ごらんなさい。普通の人じゃあ「今忙しいからあとで」でおしまいよ。
こう答えてくれるってことは・・・やっぱり・・・右京さん・・・
いけない!ここで妄想にひたるんじゃあ、いつもの私と同じじゃない!
そして私は一番重要な作戦、2に移ることにしたの。
「ここで十分よ。あの・・・・右京さん・・・・」
「・・・?」
話には、『間』っていうのも大事でしょ?だから私はここで、十分な間を空けたのよ。
その絶妙な間に、何事かと、三田村さんや中村さんもこっちを見ていたわね。
「右京さん・・・私・・・・」
「・・・杉田くん・・・・」
「私・・・右京さんのことが・・・・」
私のいつも以上に真剣な言葉に、海外事業部は静まりかえったわ。
これ以上のチャンスはない。私はここで、ついにあの作戦に出たの!
「私、右京さんのことが・・・
大嫌いだったの!!!!
」
・・・・シン・・・
その言葉に、海外事業部は音という音、すべてが消えたわ。
みんな「杉田君、一体どうしたんだ?」という顔で見ていた。
もちろん、これはう・そ。私が右京さんのことを、嫌いになるわけがないじゃない。
ただ・・・こう言って、彼がどういう反応を示すか見てみたかったの。
もし・・・少しでもうろたえてくれたら・・・
だから嘘でした、って言えるこの日しかチャンスがなかったのよ。分かったでしょう?
・・・それより右京さん、どんな反応をしてくれるのかしら?
「・・・杉田君・・・・」
「う、右京さん・・・・」
まるで少女漫画のようなシチュエーション。
ああ、もう答えは決まったも同然ね。
「今忙しいと言っただろう?たかがそれぐらいのことで、僕の仕事を邪魔しないでくれ。」
・・・・ガラガラガラ・・・・
そんな・・・・右京さん・・・・たかがって・・・・
その瞬間、私の中で、何かがくずれ去ったわ。
ガーン・・・ガーン・・・ガーン・・・
まるで大きな古時計の大きな振り子が、頭の中で揺れているようだった。
「う・・・きょうさん・・・・」
これは悪夢よね、そうよね。自分の中で何度も答えのない質問をしたわ。
でも誰も答えてはくれなかった。
でも、本当の悪夢はここから始まったの。
「杉田君、そういうわけだから・・・ちょっと、出てってもらえるかな?」
そう言ってきたのは、眼鏡をかけて、ちょっと年老いた・・・・部長さん!
この言葉に、私はもうこう言うしかなかったの。
「・・・はい・・・」
そして、静かに海外事業部をあとにしたわ。
ああ・・・右京さん・・・・・・
頭の中で、こういうフレーズが何度も出ては消え、出ては消えて言ったわ。
・・・でもまだ諦めないわよ!!今日は偶然、仕事が忙しかっただけなんだから!
本当なら、きっと右京さんは・・・
そう!私に嫌い、なんて言われて、あんなあっさり答えるもんですか!!
そうよ、その通りよ!私には来年があるわ!!ネバーギブアップ!!
そう心に誓って、秘書課に戻ることにしたわ。それも早足で。
なんで早足なのかって?
だって・・・・
こんな精神状態で、坪井千夏に会ったりしたら、勝てる自信がないんですもの。
*end*
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